「ラッセル幸福論」の凄いところ
名著として知られるラッセルの幸福論。
二部構成になっていて約半分を占める第一部「不幸の原因」が非常に示唆に富んでいます。第2章「バイロン風の不幸」で記されている、
しかし、彼らは自分の不幸を誇りにしている。おのれの不幸を宇宙の本質のせいだとし、不幸こそが教養ある人のとるべき唯一の態度であると考えているのだ。
という部分なんかは、僕たち日本人サラリーマンにありがちな「忙しい自慢」や「寝てない自慢」に通じるところがあるような気がして面白い。
そして、続く第二部では「幸福をもたらすもの」では、できる限り幅広く興味を広げること、不幸の原因も宇宙全体に占める位置から見れば大した問題ではない、ということを説いています。
ですが単に「細かいことでクヨクヨするな」と済ますでもなく、「そんな事なんてちっぽけな事だよ」とごまかすでもなく、この本の凄いところは最終的に、幸福な人とは
自分が宇宙の市民だと感じ、宇宙が差し出すスペクタクルや、宇宙が与える喜びを存分にエンジョイする 。
としているところ。
そういうところが偉大な本なのだろうと思います。